9月8日、ASUSから正式に国内版のZenfone 10が発売されました。
Zenfoneは9が出た時に買おうと思っていたのですが、タイミングを逃し購入せずここ1年間は大型ハイエンドスマホのmoto edge 30 proを使用していました。
6.7インチのmoto edge 30 proから5.9インチのZenfone 10に乗り換えて感じたことや、Zenfone 10で便利なところ、不便なところを私の独断と偏見でレビューして行きます。
なぜZenfone 10を選んだのか
小さなボディに最高性能のSoCを搭載している
Zenfone 10の本体サイズは幅68.1mm、高さ146.5mm、厚さ9.4mmで重さは172gとなっており、画面サイズは2400×1080の5.9インチです。
例として最新の小型ハイエンドスマホと比較してみましょう。
Zenfone 10 | iPhone 15 pro | Galaxy S23 | Xperia 5 V | |
---|---|---|---|---|
幅(mm) | 68.1 | 70.6 | 70.9 | 68 |
高さ(mm) | 146.5 | 146.6 | 146.3 | 154 |
厚さ(mm) | 9.4 | 8.25 | 7.6 | 8.6 |
重量(g) | 172 | 187 | 167 | 182 |
画面サイズ(インチ) | 5.9 | 6.1 | 6.1 | 6.1 |
ご覧のとおり小型ハイエンドスマホの中では厚さがネックですが、総合的にかなりコンパクトであることがわかります。
また、この小さいボディーに最新の最上位チップセット「Snapdoragon 8 Gen2」を登載しているので、処理性能やゲーム性能にも期待が持てます。
ハイエンドスマホの中でも圧倒的なコスパの良さ
Zenfone 10の最安構成はRAM8GB/128GBモデルで99980円からとなっており、RAM8GB/256GBで112800円、RAM16GB/512GBで134800円です。
これがどのくらい良心的な価格か比較してみましょう。
Zenfone 10 | iPhone 15 pro | Galaxy S23 | Xperia 5 V |
---|---|---|---|
RAM8GB/128GB 99980円 | 128GB 159800円 | RAM8GB/128GB (キャリア版のみ) 143000円~ | |
RAM8GB/256GB 112800円 | 256GB 174800円 | RAM8GB/256GB (キャリア版のみ) 136000円~ | RAM8GB/256GB (SIMフリー版のみ) 139700円 |
RAM16GB/512GB 134800円 | 512GB 204800円 | ||
1TB 234800円 |
これを見れば一目瞭然。カメラ性能や質感などには多少の優劣がありますが、iPhone 15 proがA17 Proチップでそれ以外はSnapdoragon 8 Gen2を登載しており、基本的な処理性能はどれもほぼ互角といったところです。
カメラやスピーカー音質といった付加的な性能にこだわりがない方はZenfone10を選ばない理由がありません。
バッテリー性能にも期待
コンパクトスマホとなると気になるのがバッテリー持ち。物理的にも大容量のバッテリーが積めずハイエンドチップセットとなると消費電力もデカいため、一見するとバッテリー性能的には最悪の選択ともいえます。
しかし、Snapdragon 8 Gen 2は1世代前のSnapdragon 8+ Gen 1と比較して最大40%も電力効率が向上しています。さらにこのサイズにしては大きめの4300mAhの内臓バッテリーを装備していることも相まって、バッテリー持ちはかなり良いとの評判です。
そもそもSnapdragon 8+ Gen 1を搭載したZenfone 9の時点ですでにバッテリー性能は良かったため、そこからどのくらい改善されるのかが楽しみです。
デザインが好み
ASUSの無骨な感じ。結構好きです。
私はもともとコメットホワイトを購入する予定だったのですが、8GB/128GBという選択肢がミッドナイトブラックのみ。
色にはそこまでこだわりがなかったので、結局8GB/128GBのミッドナイトブラックを購入しました。
ちなみにミッドナイトブラック以外の背面素材は環境に配慮したバイオマス由来のポリカーボネートとなっており、ミッドナイトブラックのみZenfone 9と同じポリカーボネートとポリウレタンの混合素材でできています。
開封の儀
開封はサクッと行きます。
内容物はこんな感じ。
- Zenfone 10本体
- ケース(プラっぽいハードケース)
- 30W USB ACアダプター
- USB-C to Cケーブル
- 取り扱い説明書
- SIMピン
充電セットが同梱しているのはありがたいですね。
30WのACアダプターと両端USB-Cのケーブルです。
本体です。コンパクトなサイズ感でGOOD。
ミッドナイトブラックのため背面素材はZenfone 9と同じ。マットな質感で程よいグリップ感があります。裸で使うのもイイですね。
前もって購入しておいたフィルム。いわゆるアンチグレアフィルムです。屋外での使用も考慮して反射防止タイプにしました。
正直裸で使いたかったですが、落とした時のZenfone 10への物理的ダメージと私への精神的ダメージを考慮してRhinoShieldのSolidSuitを購入しました。
なぜこの色なのかというと、Amazonにて公式販売店の在庫がこれしかなかったためです。
RhinoShieldの公式通販サイトには黒などもあったのですが、台湾からの直送で1週間以上かかるのでこちらにしました。
全てつけ終わりました。無骨さが薄れどちらかというとポップでかわいい感じになりましたが割と好みなのでヨシ。
使用感レビュー
やはり小さく軽い
Zenfone 10はそのコンパクトなサイズ感に加え、重量は公表値で172gという軽さ。(私の端末はフィルムを貼っていますので176gとなっています)
ゴツめのRhinoShieldをつけても200gちょっととなります。
欲を言えばケース込みで200g切っていて欲しかったですが、安心感重視ですので致し方なし。
moto edge 30 proは243gでしたのでだいぶ軽く感じますね。
厚みは結構気になる
厚みは9.4mmでそこそこ分厚いです。更に私はRhinoShieldのケースをつけて使用していますので更に分厚い。実測で14mmほどあります。
せっかくの小型なのに厚みのせいで持ちづらさを少しだけ感じます。
このサイズに4300mAhバッテリーを積んでいたり、ワイヤレス充電に対応したりしたため、この厚さでもかなり頑張っているのだと思います。
実際Zenfone 9から厚みが0.3mm増しており、バッテリー容量が同じことを考えるとワイヤレス充電に対応したことが大きな原因ではないかと個人的に推測しています。
Snapdragon 8 Gen 2のおかげでサクサク動作
動作はかなりサクサク。RAMが8GBなのでメモリ不足が少し心配でしたが現状どのような操作においてもモタつくことは無く快適に使用できています。
AnTuTuベンチマークにおいても平均して150~160万点を叩き出しており、こんなに必要か?と思えるほどの性能です。
また、Snapdragon 8 gen 2の性能が100%だとすると1世代前のSnapdragon 8+ Gen 1は77%となっており、数値的に見てももかなり向上していることが分かります。
6軸ジンバル手振れ補正がスゴい
カメラ性能には全くこだわりがなかった私ですが、これには感動しました。
手振れ補正をONにするとまるで静止画のようにブレない。
手振れ補正には2段階あり、通常の補正「Adaptive」と運動時などのブレが激しい時に使用する強めの補正「HyperSteady」があります。
「Adaptive」ではHDRオフで4K60fpsまで。「HyperSteady」ではHDRオフでFHD60fpsまでとなっています。
クイックショット機能が面白い
スリープ時に音量ボタンを2回押すとカメラが起動され素早く写真を3枚とってくれる「クイックショット」というショートカットがあります。
おっ!と思ったタイミングですぐに撮影に移れるのでシャッターチャンスを逃しません。
私は現状使っていませんが、いざという時に使えそうなので期待しています。
このスリープ時のショートカットではデフォルトでクイックショットが設定されていますが、クイックショットの代わりに録画を開始してくれる設定や、カメラ・インカメラの起動のみの設定もできます。
SIMピン穴とマイク穴の配置に注意が必要
左がSIMピン穴で右がマイク穴。私はSIMスロットを外す際一度間違えてしまいました。幸いすぐ気づいたので良かったですが下手したらマイクが壊れてたかもしれません。
Galaxy S21以降でもこのような配置がされており、間違えてマイク穴にSIMピンを差してしまったという方が多くいました。
実際、私の元メイン機であるmoto edge 30 proはマイク穴がUSB-C端子の右側に配置されており、間違えることのない設計になっています。
GalaxyやZenfoneのような小型スマホには避けられない配置なのかもしれませんね。
通知音量を音量設定パネルで調整できない
これが結構不便。音量設定パネルとは音量ボタンを押した際に出てくる簡易的な設定画面なのですが、通知音量、着信音量、通話音量、メディア音量、アラーム音量あたりは個別で設定できると良かったです。
まあ設定アプリを開けば変えられるので、一手間増えますが使用には問題ありません。
ツインアプリは一見便利だが…
ASUSのZenUIを搭載しているスマホは、アプリを複製できる「ツインアプリ」機能が備わっています。
LINEを始めとしたSNSを複製してそれぞれのアカウントを持つこともできますし、ゲームを複製してサブアカウントを同時に運用することができます。
しかしこの機能、複製できるアプリが限定的となっています。LINE、twitter(X)、InstagramなどのSNSにはほとんど対応しているのですが、モンストやその他のゲームで非対応なことがあります。
私がインストールしているゲームで複製できたのはパズドラのみ。ツインアプリがどんな感じなのか期待していましたが正直残念です。
試しにパズドラを複製してみました。
このように複製したアプリにはツインアプリアイコンが左下につくのでわかりやすいです。
パズドラが対応しててモンストが対応してないのはなぜなのか…
エッジツールは超便利
エッジツールとは簡単に言えばフロート画面を表示させるためのショートカットで、ここにアプリを設定しておけばすぐにアクセスすることができます。
もちろん画面分割もできるのですが、私は画面分割よりもフローティング表示のほうが好みですので結構ありがたい機能です。
またアプリ以外にもWi-Fiのオンオフや機内モードへの切り替えといったシステムショートカットも配置することができるので、自分好みにカスタムすることができます。
唯一の欠点はサイドバーが画面上に居続けるので邪魔というところです。ゲーム中は非表示にする機能もありますが、エッジツールをオンにする=サイドバーが常に表示されるということでになります。
背面タップでのショートカット
背面タップということはケースをつけていたら使えないのでは?と思いましたが、全くそんなことはなくケースとしては厚めのRhinoShieldでも、裸の時と同じ程度の強さでタップすれば反応します。
もともと、誤作動防止のためか軽い力では反応しないような設計になっていますのでそこは安心。
カメラの起動やライトの点灯、録音の開始などが割り当てられるのでより便利に使いこなすことができます。
デフォルトではダブルタップでスクリーンショット、トリプルタップでカメラの起動となっています。
3.5mmイヤホンジャック搭載
これは近年のZenfoneシリーズの大きな特徴ともいえるポイントですね。
Zenfone 8や9に引き続き、今回もイヤホンジャックが搭載されました。ワイヤレスイヤホンが主流となった現在では非常に珍しいですが、より高音質で音楽を聴きたいという方にとってはとてもありがたいと思います。
中にはイヤホンジャックがあるからZenfoneを選ぶという猛者もいるんだとか。
私は最近ゆっくり音楽を聴くことが減り、PCゲームをする時くらいしか有線接続を使いませんが、これを機に音楽を楽しむ時間を作ってみたくなりました。
便利だけど個人的には使わない機能
片手モード
この機能を使うなら素直に両手で使ったほうがいいです。片手モードにするのにもひと手間ありますし、片手モードにすると表示領域が半分になるので非常に見づらいです。
私は端のほうに指が届かない時などは両手を使っていますし、片手がふさがっている場面でスマホを使わなきゃいけない場面にいまだ遭遇したことがないので個人的に使わない機能ナンバー1です。
ワイヤレス充電
え!?この時代にワイヤレス充電使わないってマジ?と思われるかもしれませんがマジです。
実はワイヤレス充電ってかなり電力ロスが多くて発熱しやすいのです。発熱しやすいということはバッテリーを痛めやすいいうことになり、バッテリー寿命に大きく影響しますので注意が必要です。
またワイヤレス充電は定位置に置かないとしっかり充電されなかったり分厚いケースをつけているとそもそも反応しなかったりします。さらに充電速度も有線と比べると微妙です。
Zenfone 10は15Wのワイヤレス充電に対応しているので実用的な速度ではありますが、電力効率やバッテリーへのいたわりといった観点から私はスマホへのワイヤレス充電は基本的に使っていません。
まとめ
良いところ
- コンパクトハイエンドの中でも群を抜くコスパ。
- 現状最強のSnapdragon 8 Gen 2を登載しており処理性能と電池持ちを両立している。
- 最近のスマホにしては珍しく付属品が多い
- 手振れ補正がすごい。止まっている時はほぼ静止画かと思うレベル。
- クイックショット、エッジツール、背面タッチなどのショートカットが豊富。
気になるところ
- 厚い。単体でも9.4mmありiPhone4sと同じ厚さがある。
- SIMピン穴の位置がマイク穴と近く間違えやすい。
- 通知音の独立調節が設定画面までいかないとできない。
- せっかく標準機能でツインアプリを使えるのに対応アプリが限定的。
総評
小型ハイエンドスマホを持つのはXperia 5 II以来でしたが、やはりこのサイズが私に合っていると改めて実感しました。Zenfone 10に関してはいくつかある小型ハイエンドスマホの中でもよりコンパクトな感じで、個人的に「小ささの限界値」という印象。厚みがもう少し薄かったら最高です。
バッテリー持ちも申し分ありません。Snapdragon 8 Gen 1を搭載したmoto edge 30 proと比較すると、バッテリー劣化を加味しても明らかな違いがあります。
また、高性能な手振れ補正を搭載したカメラ、数多くのショートカットツールなどを備えておりどう考えても私の期待以上でした。もちろん欠点もありますが致命的な問題は今のところないのでOK。
来年のZenfone 11を楽しみにしながらZenfone 10をメイン機として使い倒したいと思います。