2023年12月。スマホの季節ともいえる秋が終わり、2023年のスマホは大方出揃った。
ハイエンドでなくても魅力的な機種が多くなってきた昨今、個人的にコレめっちゃいいじゃんと感じたのが国産ミドルレンジスマホの「AQUOS sense8」。
2023年11月半ばにSIMフリー版が発売されたのでサブ端末として購入してみた。
実際にベンチマークテストを行いつつ、1週間使って感じたことをレビューしていこうと思う。
開封の儀
パッケージはめちゃくちゃコンパクト。付属品を極限まで削ってる。

裏面見て気づいたんだけどなんと日本製らしい。すごい。

内容物は以下の通り。
- AQUOS sense8 本体
- 取扱説明書
- 保証に関する紙
- USB-C to USB-A変換機


デザインとスペックのおさらい
高級感と剛性を兼ねるアルミ筐体
私が購入したカラーはライトカッパー。Appleのローズゴールドよりもさらに薄めのゴールドといった色合い。
iPhone7のローズゴールドが好きだった私にとってはどこか懐かしく馴染みのあるカラー。
マット感が強く、落ち着いた印象がある。

上側面にはSIM/microSDカードのトレイとマイクが付いている。SIMピンなしで開くタイプだ。

下側面には送話口、3.5mmイヤホンジャック、USB-C接続端子、スピーカー。
今では珍しくイヤホンジャックが付いているのはありがたい。

右側面には電源ボタン兼指紋センサーと音量ボタンがついている。左側面は何もない。
Androidスマホの基本的な構成となっている。


スペック
筐体データ
| 幅 | 71mm |
| 高さ | 153mm |
| 厚み | 8.4mm |
| 重量 | 159g |
| カラー | コバルトブラック ペールグリーン ライトカッパー |
基本情報
| 搭載OS | Android 13 |
| CPU | Snapdragon 6 Gen 1 |
| ストレージ(ROM) | 128GB |
| メモリ(RAM) | 6GB |
| 対応外部ストレージ | microSDXCメモリーカード(最大1024GB) |
| バッテリー容量 | 5000mAh |
| おサイフケータイ | おサイフケータイ対応 |
| 背面カメラ | 標準カメラ 5030万画素 広角カメラ 800万画素 |
| 全面カメラ | 800万画素 |
| その他カメラ性能 | 手振れ補正、4K撮影、スローモーション対応 |
| Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
| 耐水・防水性能 | IPX5(噴流に対して保護) IPX8(一定の潜水状態での使用に対して保護) |
| 防塵性能 | IP6X(粉塵の侵入に対して完全に保護) |
| MIL規格 | MIL-STD-810G 落下時の耐衝撃テスト等全16項目 |
中でも私が個人的に気になったポイントはSoCのSnapdragon 6 Gen 1とMIL規格に準拠しているところ。
Snapdragon 6 Gen 1は新世代のミドルクラスCPUで、前モデルのSnapdragon 695 5Gと比較するとCPU性能は最大40%、グラフィック性能は最大35%、AI性能は3倍という大幅な性能向上となっている。
また、MIL規格16項目に準拠しており落下による耐衝撃テストや高温・低温動作テスト、結露や凍結テストなどをクリアしている。確かな頑丈さと耐久性を持っているため安心して使うことができる。
Antutuベンチマークテストの結果
それでは早速Antutuベンチマークを回していこう。測定には最新のv10を使う。
1回目
535612点。
総合スコアで言えば通常使用には問題ないスコアとなった。
ミドルレンジということもありGPUスコアが低いのが残念なところ。高負荷のかかる3Dゲームには不向き。

2回目
541261点。
約30分のインターバルを挟んでの2回目。
大きく結果は変わらず、2回とも発熱はほとんどなかった。

カメラ撮影テスト
まずは通常カメラから。
意外と悪くない印象。補正が強めに感じるけど結構綺麗。

バッファローの白色USBメモリ。
補正のせいか浮いてる感がある。コレはあまり良くない。

現在のメインスマホZenfone 10の撮影。
こちらもケースが彩度と明度共に高めで若干浮いてる印象。

続いて2倍の望遠モードで撮影。
望遠カメラはついてないのでデジタルズームとなる。
若干粗さはあるものの概ね良好。

2倍でキムワイプの撮影。浮いてる感は少ない。

最後に広角カメラのテスト。
800万画素ということであまり期待はしてなかったけど、思ったよりもクリアでノイズ感は少ない。
ただ、全体的な色味が補正されすぎて実際の色と大きく異なっている。

使用感レビュー
重量・ディスプレイサイズ・デザインは申し分なし
6.1インチのディスプレイを備えつつ159gという軽さ。同じ6.1インチのディスプレイを持つiPhone 15が171gということで、非常に軽量な事がわかる。
ちなみに同世代ミドルレンジスマホのXperia 10 Vも6.1インチで159g。sense8とともに世界最軽量をウリにしている。

デザインは結構気に入っている。
iPhone6〜7のようなアルミ筐体でありながら、iPhone4、iPhone5のようなエッジの立ったデザイン。
高級感はないもののハイエンドスマホと比較しても遜色ないレベルの出来だ。


プリインストールアプリは控えめ
私が購入したのはSIMフリーモデルなのでプリインストールアプリは少なめな印象。
はっきり言っていらないのもあるんだけどまあ許容範囲。



良くも悪くもピュアAndroid
sense8は独自のUIがないのでPixelシリーズなどと同じピュアAndroid。
私はこれに慣れているので問題ないんだけど、ユーザーが使いやすいように工夫されたSamsung GalaxyシリーズのOne UIやASUS ZenfoneシリーズのZen UIなどに操作性の面で劣る印象。
ここは好き嫌いが別れそう。個人的には慣れ親しんだUIなので可もなく不可もなくといった感じ。
ただ、クイック設定画面を出したあともう1度下にスワイプしないと明るさ調節ができない点は改善して欲しいところ。


音量ボタンの配置が気になる
使ってて最も違和感を感じたのはコレ。
電源ボタンは真ん中にあるのに音量ボタンだけかなり上の方にある。

片手持ちをしていると音量ボタンにアクセスしづらく、1週間では違和感を払拭しきれなかった。
ベゼルが太い
ベゼルが太いことそれ自体は何の問題もないんだけど、ベゼルが太い=ディスプレイサイズの割に本体サイズが大きくなる。ということになる。
ハイエンドスマホ以外は基本的にこういう傾向があるため仕方ないとはいえ、もう少し細ければもっとコンパクトになったんだろうなーと思ってしまう。

どれくらいサイズが変わってくるのかsense8と同じ6.1インチクラスのディスプレイサイズを持つほかのスマホと比較してみるとわかりやすい。
| sense8 | iPhone 15 | Galaxy S23 | Xperia 10 V | Pixel 8 | |
| 本体幅(mm) | 71 | 71.6 | 70.9 | 68 | 70.8 |
| 本体高さ(mm) | 153 | 147.6 | 146.3 | 155 | 150.5 |
| ディスプレイサイズ(インチ) | 6.1 | 6.1 | 6.1 | 6.1 | 6.2 |
| クラス | ミドル | ハイエンド | ハイエンド | ミドル | ハイエンド |
iPhone 15とGalaxy S23との比較では横幅は大差ないものの、高さが6〜7mmほど大きいサイズとなっている。
Xperia 10 Vとの比較では、国内メーカーで6.1インチミドルレンジスマホというほとんど同じ条件のため違いはほとんどないけど、sense8のほうが3mmほど横幅が大きいため、持ちやすさではXperia 10 Vに軍配が上がる。
最後にPixel 8との比較に至っては、ディスプレイサイズが0.1インチ小さいにも関わらず実際のサイズはどの点をとってもsense8の方が大きい。
比較対象がハイエンドモデルばかりだから不利ではあるけど、このように本体サイズに対してディスプレイサイズが小さいという欠点がある。
スピーカーはモノラルなので音がショボい
個人的に結構残念だったのがコレ。
それぞれの音域をフラットに鳴らしてくれてノイズ感も少ないんだけど、こもった感じがあり迫力に欠けるなぁという印象。


「AQUOSトリック」が便利
なめらかハイスピード表示
なめらかハイスピード表示とは、画面表示の滑らかさと省電力性を兼ねそろえた機能。
具体的にはディスプレイのリフレッシュレート(画面書き換え数)を1~90Hzの間で可変駆動させ、動きの多いシーンでは書き換え回数を増やし、動きの少ないシーンでは書き換え回数を減らすことで省電力性を保つというもの。
また、ゲームプレイ時には通常最大90Hzのところに黒画面を挿入することで疑似的な180Hz駆動にも対応している。
ハイエンドスマホでも120Hz~144Hzが主流なので、疑似的とはいえそれをはるかに超える滑らかさを味わえる。

クイック操作
クイック操作とは電源ボタンにショートカットキーを割り当てるもののことをいうんだけど、コレが結構便利。
- 電源ボタンを長押し→特定のアプリを起動
- 電源ボタンをすばやく2回押し→カメラ起動
といった使い方ができる。
私は特定のボタンにショートカットキーを割り当てるのが好きなので重宝している。

インテリジェントチャージ
インテリジェントチャージとはバッテリーへの負荷を減らすために充電中の温度や電圧を自動検知し、充電を制御する機能。
また、sense8ではこれに加えて2つの充電オプションを追加できる。
1つ目は「最大充電量の変更」。
このオプションでは充電のマックス値を100%ではなく90%に変更して、バッテリーの負荷を軽くすることが可能になる。
コラム
リチウムイオン電池は100%の状態を維持し続けるとバッテリーが劣化しやすくなる性質がある。逆にバッテリー残量が少ない状態での使用も劣化につながるので20%〜80%の間で使用するのがベストと言われている。
2つ目は「画面消灯時のみ充電」。
このオプションでは充電を画面消灯時のみに限定することができ、画面表示中は自動的にダイレクト給電に切り替えてくれるため、バッテリーの温度上昇が抑えられ意識せずともバッテリーの劣化を防ぐことができる。
このようにバッテリーへのいたわり機能がついているということは長く使える設計になっているということで、長期的な使用への安心感がある。

OSアップデートは最大3回保証・セキュリティアップデートは最大5年保証
これまでのSHARPは最大2回のOSアップデートと最大3年のセキュリティアップデートを公約としていたけど、今年8月に発売された同社ハイエンドモデルのAQUOS R8、AQUOS R8 proから最大3回のOSアップデートと最大5年のセキュリティアップデートとなった。
もちろんこのsense8も対象。
長期アップデート保証といえばSamsungやAppleが筆頭だったけど、現在はGoogleのPixelシリーズも長期アップデートに舵を切り、Pixel 8、Pixel 8 Proでは7年間のアップデート保証を打ち出した。
SHARPも従来のアップデート保証期間では生き残れないという判断に至ったんだと思う。
いずれにしても1つのスマートフォンを長く使えるというのは、消費者の私たちにとって喜ばしいことだ。
まとめ
いいところ
- 本体の出来はかなり良い
- MIL規格に準拠しており耐久性が期待できる
- ミドルレンジ向け最新SoC「Snapdragon 6 Gen 1」を搭載している
- 高リフレッシュレートと省電力性を両立している
- バッテリーへのいたわり機能が豊富
- アップデート保証期間が増え長期的に使えるようになった
微妙なところ
- Antutuベンチマークスコア的に高負荷の3Dゲームには不向き
- カメラがAI依存感あり
- ベゼルが太くディスプレイサイズの割に本体が大きい
- スピーカーがモノラルでショボい
ひとこと総評
メイン機としての使用には心もとないけど、家用や2台目以降のスマホとしては全然アリ。
sense 8に使っているケースも乗せておく。


