2024年6月7日に国内キャリア版が発売し、同年6月21日にSIMフリー版が発売されたSONYのフラッグシップスマホ「Xperia 1 VI(エクスペリアワンマークシックス)」。
価格は12GB/256GBの最小構成モデルで189,200円からとなかなか強気の価格設定なんだけど、果たしてこの値段に見合う価値はあるのか、実際に2週間使って分かったことをレビューしていこうと思う。
基本スペック
スペック表
| 本体サイズ | 横74mm 縦162mm 厚み8.2mm |
| 重量 | 192g |
| SoC | Snapdragon 8 Gen 3 |
| メモリ(RAM) | 12GB or 16GB |
| ストレージ(ROM) | 256GB or 512GB |
| 対応外部メモリ | microSDXC(最大1.5TB) |
| バッテリー容量 | 5000mAh |
| ディスプレイサイズ | 6.5インチ(フルHD+ 有機EL) |
| リフレッシュレート | 1~120Hz可変 |
| カメラ(超広角) | 16mm 1200万画素 |
| カメラ(広角) | 24mm 4800万画素 48mm 1200万画素 |
| カメラ(望遠) | 85-170mm 1200万画素(光学7.1倍) |
| フロントカメラ | 1200万画素 |
| 防水・防塵性能 | 防水IPX5/IPX8 防塵IP6X |
| その他 | 3.5mmオーディオジャック搭載 おサイフケータイ対応 ワイヤレス充電対応 Bluetooth 5.4 デュアルSIM対応 |
価格表(SIMフリーモデル)
| 12GB/256GB ・ブラック ・プラチナシルバー ・カーキグリーン ・スカーレット | 189,200円 | 2024/6/21発売 |
| 12GB/512GB ・ブラック ・プラチナシルバー ・カーキグリーン ・スカーレット | 204,600円 | 2024/6/21発売 |
| 16GB/512GB ・ブラック ・カーキグリーン | 218,900円 | 2024/8/23発売 |
Xperia 1 VIを選んだ理由
最高峰の性能
2024年6月時点で最高の性能を持つSoC「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載しており、性能面において右に出る者はいない。
このSnapdragon 8 Gen3は前世代のSnapdragon 8 Gen 2と比較すると全体的に約20%ほど性能が向上しているらしく、AnTuTu 10ベンチマークテストではSnapdragon 8 Gen 2が150万~160万前後であるのに対し、Snapdragon 8 Gen 3は190万~200万前後とかなりの高スコアを出している。
魅力的なカメラスペック
SONYの技術が詰め込まれたXperia 1 VIのカメラ。望遠カメラの焦点距離が先代のXperia 1 Vの85mm-125mmから85mm-170mmに変更され、望遠端が伸びたことで光学ズームの倍率が上がった。
また、この望遠カメラを利用した新機能「テレマクロ」も注目ポイント。スマホでマクロ撮影を行う場合は基本的に広角カメラを使用するんだけど、望遠カメラを使用したテレマクロでは被写体との距離をとりながらマクロ撮影ができるため、影が映りこみにくかったり、近づきづらい虫や動物といった被写体も撮影しやすいといったメリットがある。
メインの広角カメラはXperia 1 Vにて搭載された新開発イメージセンサー「Exmor T for mobile」を引き続き搭載。今回新たにクロップズームによる2倍ズーム撮影機能が追加され、より利便性が向上している。
バッテリー性能がかなり良い
今回Xperia 1 VIに搭載されたチップセット「Snapdragon 8 Gen 3」は1世代前の「Snapdragon 8 Gen 2」と比べると性能が良い分、発熱が大きく省電力性能においてはあまり期待されていなかった。
しかし、Xperia 1 VIは今までのXperia 1シリーズに採用されてきた4Kディスプレイをやめ、フルHD+ディスプレイに変更したことによって消費電力が抑えられている。
このディスプレイ解像度の変更は見方によっては改悪ともとれるけど、スマートフォンという小さいディスプレイではあまり実用性のない4Kよりも、フルHD+にすることでバッテリー持ちの向上という万人にとって明確なメリットが生まれるため、個人的には悪くないと考えている。
また、Xperia 1シリーズとしては初となる放熱性に優れた冷却システム「ベイパーチャンバー」を搭載しており、熱によるバッテリー消費を抑えることができる。
ざっくり言えば板状の水冷機構。薄い金属板の中に冷却水が入っており、この冷却水が蒸発と液化を繰り返すことで熱を放出する。
多くの電子機器に使用されるグラファイトシートと比べるとかなり高い冷却効率を持っている。
6.5インチディスプレイという絶妙なサイズ感
実は6.5インチというディスプレイサイズを採用しているハイエンドスマホはかなり少ない。
iPhone 15 Pro MaxやPixel 8 Pro、Xiaomi 13T Proといった有名どころのハイエンドスマホは全て6.7インチのディスプレイとなっており、Galaxy S24 Ultraに関しては6.8インチとこの辺のサイズになってくると、動画視聴時の臨場感や画面の見やすさが増す反面、かなりデカくて取りまわしが不便になる。
一方でコンパクトハイエンドスマホとして人気の高いZenfone 10は5.9インチ、iPhone 15 ProやXperia 5 Vは6.1インチ、Galaxy S24は6.2インチで、このあたりのサイズになってくると動画視聴などのエンタメ性や画面の見やすさを犠牲に片手操作感やポケットへのおさまりが良くなる傾向があり、より普段使いに適している。
Xperia 1 VIのディスプレイサイズは6.5インチで、この両極端なサイズ展開のちょうど中間サイズとなっている。エンタメ性と普段使いのしやすさを兼ねそろえた絶妙なサイズと言えるのだ。
パッケージ開封
それではサクッと開封していこう。
ソニーテープで梱包された段ボールにて到着。購入先はソニーストア。

例年通りプラスチックゼロパッケージ。高級感は全くない。


めちゃくちゃシンプルなパッケージ内容。USBケーブルやACアダプター、専用ケースなどの付属品は一切なし。

今回購入したモデルはSIMフリーの12GB/256GBでカラーはプラチナシルバー。

続いて保護アクセサリーを装着していく。ガラスフィルムとケースに加えカメラレンズフィルムも用意した。
- 【ray-out】Like Standard 10Hガラスフィルム
- 【ray-out】Like Standard 10Hカメラ保護ガラスフィルム「eyes」
- ハイプラス TPU耐衝撃ケース

ハイプラスのTPUケースは結構おすすめ。四隅の衝撃吸収ポケットが高低差のある設計となっているため、ディスプレイやカメラレンズが接地することなく平置きできる。

ray-outのカメラレンズガラスフィルム「eyes」を装着した感じ。
厚みが結構あるんだけど、ハイプラスのケースと併用するとギリギリ接地しないのでOK。

実際の使用感レビュー
ハイエンドにふさわしい高級感にあふれたデザイン
洗練されたデザインでかなり好み。背面のロゴ主張は控えめで落ち着きのある印象。

また、Xperia 1 Vまでは黒で統一されていたカメラバンプが今回は本体と同色になり、一回りサイズアップした点が個人的な推しポイント。スタイリッシュさとイカつさが同時に増している。

本体側面を見ていこう。
まずは右側面。向かって右側が端末上部、左側が下部。
側面中央付近に電源ボタンがありそのすぐ上に音量ボタンと、基本的な配置は一般的なAndroidスマホと同じ。
一番左には従来よりも大型化されたシャッターボタンが搭載されている。長押しでカメラアプリの起動、半押しでオートフォーカス、全押しで撮影ができる。

続いて下側面。
真ん中にはUSB-C接続端子がありその左隣の穴は送話口。マイクの役割もしている。
左側にはSIMカードトレイ兼SDカードスロット。SIMピンなしで開けられるタイプ。

右側面は何もなし。

最後に上側面。
右側には3.5mmのイヤホンジャック。またの名をヘッドセット接続端子。ここ最近のスマホには珍しいインターフェイスだ。
左側にはセカンドマイク。通話時に自分の声以外のノイズを抑制してくれる。

背面パネルの素材はGorilla Glass Victusが使われており、ドット加工が施されているためデコボコ・ザラザラした触り心地。

カメラが楽しすぎる
リニューアルされたカメラアプリが使い勝手ヨシ
Xperia 1 VIでは先代モデルまでそれぞれ独立していた「Photo Pro」「Video Pro」「Cinema Pro」の3つのカメラアプリが1つに統合され、UIがシンプルになったことでより使いやすくなった。

このように初心者にも優しい万人向けカメラアプリにリニューアルされたんだけど、もちろん今までの玄人向け撮影モードも健在。「プロ」モードにすることでPhoto Proを継承したマニュアル撮影をすることができる。

ありのままを忠実に再現した映り
画質に関してはキラキラとした華やかさや派手さはなく、自然な仕上がりでありのままを映しだす印象。
最初から加工や補正が少ない映りなので、自身での加工や自然な色合いが楽しめる。



新機能「テレマクロ」がスゴイ
私がXperia 1 VIを選んだ理由の1つでもある「テレマクロ」。
実際使ってみるとマニュアルフォーカスのためなかなか難しく、きれいに撮影するには三脚を使用する必要があると感じた。それにしてもスマホでこのようなマクロ撮影ができるのはかなり面白い。




ぶっちゃけ実用性はあまりない。でもスマホでの楽しみが1つ増える。
驚異的なバッテリー性能
巷で噂されていたXperia 1 VIのバッテリー持ちの良さはマジだった。
私はこの2週間のうち1日約6~7時間ほどXperia 1 VIを使用しているんだけど、1回も30%を切ることはなかった。今までのスマホを凌駕するバッテリー持ちを感じる。
3Dゲームや動画視聴などをガッツリやる場合を除き、ほとんどの場合1~2日は持つと思う。
フルHD+ディスプレイによる消費電力抑制とベイパーチャンバー搭載による放熱性の向上という2つの進化によって、驚異的なバッテリー持ちを手に入れているんだと思う。
地味に増えたOSアップデート回数とセキュリティサポート期間
Xperia 1 VIのOSバージョンアップデートは最大3回、セキュリティアップデートは最大4年。従来のXperia 1シリーズはOSバージョンアップデートが最大2回、セキュリティアップデートが最大3年だった。地味に増えている。
サポート期間の長さで有名なiPhoneシリーズやGoogle Pixelシリーズ、Galaxyシリーズなどと比べると、Xperia 1は今までが短すぎたとも言えるけど、何はともあれサポート期間が延長されたのは良いことだ。長く安心して使うことができる。
サイドセンスもリニューアル
変更点と追加された機能
Xperiaシリーズではおなじみの片手操作サポート機能「サイドセンス」。実はこのサイドセンスもXperia 1 VIでリニューアルされている。

まずサイドセンスの呼び出し方が変更された。従来はサイドセンスバーをダブルタップで起動だったのに対し、今回からスワイプで起動するようになっている。上方向・左方向・下方向の3方向それぞれに各機能を割り当てることができる。
また、新しくサイドセンス内に追加された機能「ダッシュボード」では、以下のような簡易的な設定が行える。
- ネットワークやBluetoothの設定
- 画質・音質の設定
- 「Headphones connect」でのヘッドホン調整
「Headphones Connect」でのヘッドホン調整では注意点が2つある。
1つ目はデフォルト状態でこの機能がオフになっている点。設定からオンにする必要がある。



2つ目は、Headphones Connectでのヘッドホン調整機能がこのアプリに対応している製品(SONY製のヘッドホンまたはイヤホン)のみで動作する機能となっている点。
SONYのワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」と接続するとこんな感じ。

接続されているデバイスのステータスが見れるほか、アダプティブサウンドコントロールの切り替えやイコライザーの選択が行える。
このダッシュボード機能なんだけど、思ったよりカスタマイズ性が低いのでSONY製のヘッドホン・イヤホンを使用しない場合はAndroid標準の「クイック設定パネル」で事足りるかなと言う印象。
個人的な運用例

私がサイドセンスに割り当てている機能はこの画像の通りで、ダッシュボードとスクリーンショットのみというシンプル構成。
上方向へのフリックは違和感がすごいので「何もしない」にしている。
この他にもマルチウィンドウメニューやアプリランチャーメニューの割り当てもできる。
片手での操作性は先代に劣る
Xperia 1シリーズは初代から昨年モデルのVまでアスペクト比21:9のディスプレイパネルを採用していた。対して今回のXperia 1 VIから、サイズは変わらず6.5インチでアスペクト比19.5:9の新ディスプレイパネルに変更されている。
そのため、先代モデルであるXperia 1 Vは縦165mm・横71mmなのに対しXperia 1 VIは縦162mm・横74mmと、縦に短くなった分横幅が増え片手に収まりづらくなった。
6.5インチという大きすぎない絶妙なサイズ感のためあまり気にならないけど、先代モデルよりも片手でのホールド感が劣るのは事実だ。
まとめ
良いところ
- Snapdragon 8 Gen 3搭載のフラッグシップモデル
- スタイリッシュなデザインと高級感のある質感
- 大きすぎず小さすぎずの絶妙なサイズ感
- テレマクロ機能追加&初心者にも優しくなったスマホ最高峰のカメラ性能
- 圧倒的なバッテリー持ち
- OSアップデートは最大3回、セキュリティアップデートは最大4年に延長
残念なところ
- シンプルに本体価格が高い
- パッケージがショボくワクワク感に欠ける
- 付属アクセサリー類は無し
- アスペクト比が変わり持ちにくくなった
総評
Xperia 1 VIはディスプレイのアスペクト比が21:9から19.5:9へ変更され、それに伴い4KからFHD+になり、前評判としては「Xperia 1としての個性がなくなった」や「改悪」といった悪いイメージがあった。
しかし、実際に使ってみることで今回の変更は後ろ向きな理由ではなくむしろバッテリー性能に重きを置いた前向きな変更であることや、フラッグシップモデルならではの作りこみ、写真撮影の楽しさが実感できた。
私がXperiaシリーズを購入するのはXZ2、5 IIについで3台目になるけど、価格に見合ったもしくはそれ以上の価値があり、今までで最も満足感のある1台だった。


