ここ最近のスマホ、性能も価格も高すぎではと感じる今日この頃。
性能が高ければ価格も高くなるのは当たり前のことなのですが、問題は必要以上のスペックに対してコストがかかっているという点で、端的に言えばオーバースペックでコスパが悪いってことです。
例えば、「それなりにいい性能で、それなりにいいカメラで、それなりにいい質感」が備わったスマホを80点とし、これが10万円であるのに対して、フラッグシップモデルは95点で20万円というイメージ。
私自身、メイン機としてSONYのフラッグシップ機「Xperia 1 VI」を使用しており、処理性能・カメラ性能ともに最高スペックで非常に満足していますが、購入時の端末価格は18万9000円と、めちゃくちゃ高いです。
そこで今回は、2万円で買えるモトローラのエントリーモデルスマホ「moto g24」を実際に使ってみて分かったことをレビューし、この価格帯のスマホはアリなのかナシなのか、独断と偏見で白黒つけていきたいと思います。
基本スペック
SoC | MediaTek Helio G85 |
メモリ(RAM) | 8GB |
ストレージ(ROM) | 128GB |
搭載OS | Android 14 |
対応外部メモリ | microSDXCメモリーカード |
本体サイズ | 幅74.53mm 高さ163.49mm 厚さ7.99mm |
重量 | 181g |
ディスプレイ | 6.6インチ 1612×720 LCDディスプレイ 最大リフレッシュレート:90Hz 最大輝度:537nit |
リアカメラ | メイン:約5000万画素 マクロ:約200万画素 |
フロントカメラ | 約800万画素 |
防水・防塵性能 | 防水:IPX2 防塵:IP5X |
その他 | イヤホンジャック搭載 Bluetooh 5.0 RAMブースト可能 |
開封の儀
なんの飾りっ気もない外箱。高級感とは一切無縁な感じが潔くて逆に好印象です。

パッケージ内容は以下の通り。
- moto g24本体
- ケース(本体に装着済み)
- 簡易的な説明書
- SIMピン
ACアダプターやUSBケーブルといった充電に関する付属品はありませんが、TPU系のソフトケースが付属しています。ちょっとだけありがたいです。



付属のケースを外してみるとこんな感じ。安っぽさは感じません。

本体重量は181gですが、ケース装着時は203gでした。

ベンチマークテスト結果
今回計測に使用するのはAnTuTu Benchmark V10。
スペックが最低要件を満たしていないのか、通常版のAnTuTu 3D Benchが使えなかったため、Lite版で計測しました。
まずは1回目。結果は265934点。

続いて2回目。結果は273388点で1回目よりちょっとだけ高スコアになりました。

30万点に到達しないスマホはローエンド(エントリークラス)の中でも特に性能が低いとされているため、本当に最低限の性能だけ持ち合わせている感じですね。
使用感レビュー
シンプルかつ安っぽくないデザインがGOOD
全体的にマット加工が施されたシンプルで落ち着いたデザイン。
高級感はないものの、決して安っぽくなく個人的には気に入っています。

カメラ部分は若干盛り上がっており、通常カメラとマクロカメラの2眼構成。
フラッシュライト上部には「50MP QUAD PIXEL」の文字が刻印されています。

本体上部には3.5mmのイヤホンジャックを搭載しており、有線イヤホンや有線スピーカーへの接続が可能。
また、moto g24はエントリークラスのスマホでありながらステレオスピーカーを搭載しており、3Dサラウンドサウンド「Dolby Atmos」に対応しているため、中央に「Dolby Atmos」の刻印が施されています。

右側面には一般的なAndroidスマホ同様、電源ボタンとその上部に音量ボタンが配置されています。
全体的にボタン配置は上寄り。個人的にもうちょっと下にあったほうが使いやすいのでこの辺はマイナスポイントでした。

左側面は上部にnanoSIM/microSDXCスロットがありnanoSIMが2枚、microSDXCが1枚、計3枚セットすることができます。
3スロット構成は比較的珍しいですが、ニーズがあるかは不明。

下側面にはスピーカー、USB-C充電端子、マイクがあります。

インカメラはパンチホール仕様。ディスプレイを最大限使うことができます。
また、最上部には受話口を兼ねたスピーカーがあります。

基本的な動作は一応問題なし
ここでいう基本的な動作とは、私が普段からよく使用し、かつ、大多数のユーザーに使われると思われる動作のことで、具体的にはブラウジング、写真撮影、動画視聴、SNS、Amazonアプリ、Google Mapです。
結論から言うと、これらは全て問題なく使用することができますが、動画視聴と写真撮影以外、快適とは言えませんでした。
ブラウジング、SNS、Amazonアプリ、Google Mapは画面をスクロールする際のラグやカクつきが気になり、せっかくの90Hzリフレッシュレートが意味を成していないところが玉に瑕。
短時間の使用でも眼精疲労とストレスを実感したため、1日に何時間もスマホを使う私には不向きだと感じました。
とは言え、強制終了やおかしな挙動は見られず、写真撮影と動画視聴に関しては上位機種と遜色ないレベルの快適性だったため、一応問題なく動作するという結果になりました。
ゲームには力不足
2万円のスマホにゲーム性能を求めるなと言われればそこまでなのですが、処理負荷が軽いライトなゲームから、3Dグラフィックてんこ盛りの重量級ゲームまで、いくつかプレイしてみました。
快適にプレイできるものを「良」、カクつきはみられるものの概ねマトモにプレイできるものを「可」、持続的にカクついていたり操作性へのストレスが顕著に感じられるものは「不可」とし、この3段階でざっくりまとめていきたいと思います。
早速ですが結果がコチラ。
キャンディークラッシュ | ねこあつめ | パズドラ | モンスト | プロセカ | 原神 |
良 | 良 | 可 | 可 | 可~不可 | 不可 |
moto g24にはいくつかゲームがプリインストールされており、そのうちの一つであるキャンディークラッシュはかなり快適にプレイができました。
また、ねこあつめは軽そうなゲームの代表格という偏見でセレクトしましたが、案の定サクサク快適に動作しました。
パズドラとモンストは似たような挙動で、ダンジョン潜入中よりもメニュー画面やBOX整理のときにカクつきが多く見られました。
プロセカに関しては、3DライブモードをONにすると一気に負荷が高まり、かなりカクつきますが、ライブ時の設定を最も軽量な状態にすると、安定してプレイすることができます。
つまり、この結果はあいまいというわけではなく、軽量モード時が可、3DライブモードON時が不可ということになります。
原神はチュートリアルのムービーで10秒ほどフリーズ。このまま落ちるか?と心配になりましたが何とか持ちこたえました。
その後、実際にプレイしてみるとグラフィック最低設定でもモッサリ感があり、明らかなラグがあったため不可にしました。
良くも悪くもピュアアンドロイド
moto g24は自社製のUIではなく、Android純正のUIを採用しています。
例えばSamsungのOne UIやASUSのZen UI、XiaomiのMIUIが自社製のUIとして定評がありますが、モトローラのスマホはそういった自社カスタマイズがほとんどなく、いわゆる「ピュアアンドロイドスマホ」です。
私はAndroid純正UIに対して、「痒い所に手が届かないけど使いなじみがあるから安心」というイメージを持っていますが、ここをどう捉えるかは人それぞれ。
よく言えば無駄な機能がなくシンプルで簡素。悪く言えばオリジナリティーがなく人によっては操作性に不満が出る。といった感じです。


ディスプレイがしょぼすぎる
ディスプレイ性能は、スマホとユーザーをつなぐ大事なインターフェースであり、個人的にはこだわるべきだと思うポイントですが、moto g24はここが弱い。
まずは画面の解像度ですが、1612×720はさすがに物足りなさがあります。最低でもFHD+(2418×1080)程度は欲しいところです。
また、ディスプレイパネルには液晶ディスプレイ(LCD)を採用しているのも残念。
近年のスマホに多く採用される有機ELディスプレイ(OLED)に比べ、LCDは電力効率、発色ともに劣ってしまいます。
2万円でおつりが来るスマホということで当然と言えば当然ですが、コストカットによるボロが分かりやすく感じられました。
RAMブーストに過度の期待は禁物
moto g24は仮想メモリとしてストレージ(ROM)容量を利用することで、通常8GBであるメモリ(RAM)を最大16GBまで増やすことができます。
仮想メモリはパソコンでおなじみの機能ですが、モトローラのスマホではこの仮想メモリ機能を「RAMブースト」と呼び、マルチタスクで同時に様々な処理を行う際の快適性を高めたり、強制タスクキルを未然に防ぐことができます。
しかし、RAMを拡張したところでCPUがボトルネックになってしまっているのか、実際に最大メモリにして使ってみても大差は感じられませんでした。
スマホに仮想メモリ機能を搭載するのは面白さと実用性がありますが、そもそも2万円以下のスマホでそんなヘビーユースを想定した機能が要るのかというのも正直な感想。
ちなみにデフォルトでONになっています。RAMブーストによって増やせるメモリは2GB、4GB、6GB、8GBから選ぶことができます。

防水・防塵性能が頼りない
防水等級はIPX0からIPX8まで9段階ありますが、moto g24の防水等級は下から3番目のIPX2とかなり低い水準。
具体的に、IPX2は「垂直より左右15°以内からの降雨によって有害な影響を受けない」と定義されていますが、簡単に言えば水没はおろか、場合によっては雨でもアウトということです。
防塵等級に関しては、IP0XからIP6Xまで7段階あるうちIP5Xとそれなりに高い水準にいますが、それでも完全な防塵構造を持つわけではないため注意が必要になります。
ジェスチャーが超便利
以前メイン利用していたmoto edge 30 proにも搭載されていた機能で、モトローラ製スマホのジェスチャーは個人的にかなり使いやすいものになっています。
まず1つ目がスマホ本体を横に2回振ることでライトのON/OFFができるジェスチャー「簡易ライト」。
多くのスマホでもライトのショートカットは設定できますが、ロック画面にショートカットアイコンを配置できる程度で、それではスリープを解除しロック画面をつけてからショートカットアイコンをタップするという2アクションが必要です。
しかし、moto g24はスリープ状態からでもスマホ本体を横に2回振るだけの1アクション。
本物の懐中電灯でさえ、電源スイッチを探してからスイッチを押す前という2アクションが必要なことを踏まえると、このジェスチャーがいかにユーザーフレンドリーか分かります。

続いて2つ目はスマホ本体を持ったまま手首を横に2回ひねることでカメラが起動するジェスチャー「クイック撮影(クイックキャプチャー)」。
これも同じく1アクションカメラを起動できるのが大きなメリットで、シャッターチャンスを逃しません。

ちなみにこのアクションは、起動するカメラ向きのカスタマイズが可能。
また、カメラ起動中にこのジェスチャーをもう一度行うと、リアカメラ(インカメラ)からインカメラ(リアカメラ)に切り替わります。

カメラ撮影テスト
まずは快晴の日の青空。雲一つないためのっぺりしているように見えますが、色味は結構忠実に再現されています。自然な仕上がりで結構好みです。

続いては室内でのブツ撮り。いい被写体が見つからなかったので私のお気に入りトラックボールマウス「M575」を撮ってみました。全てオートフォーカスでの撮影です。
最初はメインカメラ等倍での撮影。全体的に暗めで若干の粗さはあるものの、やはり色味は忠実に再現されています。

続いてメインカメラ3倍での撮影。約5000万画素のデジタルズームで、結構鮮明に撮れます。

最後はマクロカメラ。約200万画素と数値だけ見れば少ないですが、実際の写りは悪くないと感じました。

おまけでポートレート撮影。先ほどのM575をバックに無印のアルミアトマイザーを撮影しました。ボケ感は弱めな印象です。

ちなみにカメラアプリのUIはこんな感じ。

まさかのプロモードも搭載していました。欲を言えば、メニューの各ボタンがスマホの向きに追従して横向きになってくれればもっと使いやすくなりそう。

まとめ
良いところ
- 安い
- 価格以上の筐体デザインで安っぽくない
- 基本的な動作は一応こなせる
- ステレオスピーカー
- 仮想メモリ機能(RAMブースト)搭載
- ジェスチャーが便利
- プロモードでの撮影ができる
残念なところ
- ちょっとしたことでカクつく
- 軽いゲームしかできない
- ディスプレイがしょぼい
- 防水・防塵性能が貧弱
総評
あくまで2万円で買えるスマホということを念頭に置き、大きな期待はせず、変な挙動があったらネタにでもしてやると身構えていましたが、思っていたよりもマトモに動作したので良い意味で驚きました。
しかしながら「大体のことはできるけど快適ではない」というのが実際に使ってみて感じたことで、個人的な結論としては、「メイン使用は無理。サブスマホとしてもいらない」といったところ。アリかナシかでいえばナシです。
本当はミドルレンジやハイエンドクラスのスマホが欲しいけど、妥協してこのクラスのスマホを買うなんてことがあれば、ほぼ確実に安物買いの銭失いとなります。
今回のレビューは酷評ばっかりになってしまいましたが、moto g24のようなエントリークラススマホの最大の魅力は「価格」であり、スペックにいちゃもんをつけること自体がナンセンスなのです。
ポジティブに考えれば、最低限動いてくれればそれでいいし、ゲームなんて絶対しないという場合の最適解と言えるかもしれません。